交通事故をゼロに!SDGsゴール3「すべての人に健康と福祉を」
【株式会社セルクル】

交通事故をゼロに!SDGsゴール3「すべての人に健康と福祉を」<br>【株式会社セルクル】

今回、お話をお伺いしたのは、「あなたの自転車生活をホンモノにしたい」がコンセプトである「株式会社セルクル」の代表を務める田中さん。

田中さんは、往復2時間半(45キロ)の自転車通勤を始めたことをきっかけに、自転車の魅力と課題に気付き、その課題を解決するために会社を立ち上げました。

「自転車安全講習会」などに取り組み、自身で研究を重ねて確立した「論理的に自転車事故を減らす方法」を普及啓発しています。

問題!「交通事故」と「SDGsゴール3」はどのように関係しているでしょう??

SDGsゴール3は「健康と福祉」なので、交通事故は関係ないですよ!
まあ、誰にでも間違いはありますから気にしないでください。

随分上からだね・・・

ゴール3には「2020年までに世界の交通事故を半減する」というターゲットが含まれていて、深く関係しているんだよ!

それでは詳しくお話を聞いていくね!
田中さんの話は、一般的な交通安全の普及啓発と違った視点でとても興味深いよ!

株式会社 セルクル
田中 章夫さん

プロフィール

会社勤務時に、気分転換もかね「なにか無茶なことをしてみよう」と往復2時間半(45キロ)の自転車通勤に挑戦。

最初は諦めそうになるも、自転車通勤をきっかけに、自転車の魅力に目覚める。

それと同時に、自身が自転車通勤の中で事故や危ない目に何度も会うなど、様々な自転車の課題に気付き、課題解決のために株式会社セルクルを立ち上げる。

海外視察や研究を重ね、独自の手法で自転車交通安全の普及啓発を行っている。

セルクルさんは交通安全に関する動画も制作しています!

自転車事故をゼロに!

――具体的にどんな取り組みをしているのでしょうか?

田:「交通事故ゼロ」を目指して、様々な取り組みをしていますが、メインは高校や中学校、自治会やPTAなどを対象に実施する「自転車安全講習会」になります。

――「自転車安全講習会」の成果はどうでしょうか。

田:受講した高校の「年間の自転車事故件数」が半数以上減った例もあります。

――すごい成果ですね!
一般的な「自転車安全講習」との違いがあるのでしょうか?

田:はい。
まず1つとして、データの分析があります。

――データの分析??

田:今までその学校で起きた事故のデータを提供してもらい、まずはそれぞれの事故の原因を分析します。

データ分析に使用する「事故報告書」

――なるほど!
例えばどんな原因があるのでしょうか?

田:「自転車で歩道を走る」ことが、事故の原因となるケースが多いですね。

この場合、「自転車で歩道を走るのをやめる」ことで、その原因の事故はなくなります。

――確かにそうですね。

データを分析すると、学校ごとの通学路の危険箇所なども分かりそうですね。

田:そのとおりです。
講習は、学校ごとに具体的な危険個所を例示して行うようにしています。

――生徒さんは自分の通学路から学ぶことができるので、イメージがしやすいですね。

そのほか、田中さんが行う「自転車安全講習」の特徴があれば教えてください。

「自転車安全講習」の様子

田:私が行う講習では、「なぜその交通ルールが作られたのか?」「なぜそのルールを守らなければいけないのか?」といった理由まで教えるようにしています。

――確かに、一般的な交通安全講習だと、『なぜそのルールが作られたのか』といった理由にまでは踏み込まないですよね。

田:そうなんです。

実は、日本の交通ルールはとても合理的で整合性がとれているんです。だから「ルールが作られた理由」を知ることはとても重要なんです。

――そうなんですか!?

「一時停止線が手前過ぎて、左右の確認がしにくい」と思うこともあるのですが、それも意味があるのですか?

田:もちろんそれにも合理的で整合性の取れた理由があります。

それらをきちんと論理的に伝えていくことで、学んだ人も理解が深まり、実行する人が増えると考えています。

――確かに、ルールを守らないといけない理由までわかると、学んだことを実行に移す人も増えますね。

私が交通ルールを守る理由は、「罰金」を払いたくないからです。

理由を知らないとそういう考えになってしまうよね。

自転車事故を減らすための2つのこと!

田:実は、2つのことを守ってもらえれば、自転車事故は8割以上減らすことができます。

――たった2つのことを守るだけでそんなに自転車事故が減るんですか!?

田:はい。
「なぜ自転車事故が起きてしまうのか?」ということを、論理的に考えると、2つの大きなポイントにたどり着きます。

――なるほど。
それはズバリ何でしょう?

田:『見える場所(車道の左側)を走る』と『一時停止でしっかり止まる』になります。

――とてもシンプルですね。

田:多くの事故の原因は、本質を考えると「最初は⾒えていなかった」になります。

電柱がかなり前からはっきり見えているのにぶつかる人はまずいません。

――確かにそうですね。

つまり、事故は見えていなかったものが急に現れた時に起こるということですね。

田:そのとおりです。

ですから、自動車ドライバーから『見える場所(車道の左側)を走る』ことが1つ目のポイントになります。

――歩道ではなく、車道の左側を走ることが、なぜ「見える」につながるんでしょうか。

田:これはドライバーの視線の角度の問題です。
車道を走ることで、ドライバーの死角に入らない場所を走ることができます。

――なるほど。自転車で歩道を走ってしまうと、自動車の死角にはいってしまうんですね。

田:そして2つ目の『一時停止でしっかり止まる』を守ることにより、「見える」時間を増やすことができます。

――確かに見える場所を走り、見える時間を増やせば、理論的に「最初は⾒えていなかった」が原因の事故はなくすことができますね!

たった2つのことを守るだけで、交通事故の8割以上が減るなんてびっくり!

SDGsに対する思い

――SDGsについては、いつ頃から知っていたのでしょうか。

田:2015年の始まった当初からSDGsは知っていて、意識していました。

――とても早いですね。何か理由があるのでしょうか?

田:自転車通勤を始めたあたりから、自分のなかで環境意識が高まり、海外にも目をむけるようになっていたからですね。

――なるほど。
そこからご自身の事業とSDGsをどのように結び付けていったのでしょうか?

田:まず、自転車事故が減れば、ゴール3「すべての人に健康と福祉を」に繋がります。

そして事故が減れば、自転車に乗る人が増えます。それが自動車からの乗り換えであれば、ゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」やゴール13「気候変動に具体的な対策を」にも繋がっていきます。

――様々なSDGsのゴールに繋がっていくんですね!
最後に田中さんにとってSDGsとは?

田:これまで、『環境対策』と聞くと、『専門家がやる難しいもの』というイメージがありましたが、取組内容が分かりやすく表現されたSDGsにより、裾野が広がったと感じています。

――ビジュアル的にもとっつきやすいので、入口としてわかりやすいですよね。

田:SDGsの各ゴールのいずれかは、必ず自分に関係しています。
自分の関係あるゴールから取組を始めれば良いと思います。

「自転車」ってさまざまなSDGsに繋がっているんだね!

終わりに

田中さんの「自転車事故を減らす方法」はとても論理的で興味深かったです。

また、皆さんにとても身近な『自転車』1つを考えても、様々なSDGsに繋がっているんですね!

ルールを守って交通事故を減らす、通勤を自動車から自転車に変える、少しの距離であれば自転車で移動するなど、すぐに実行できるSDGsアクションも多いです!

今日から意識して「行動」してみましょう!

『事故の多い交差点』と掛けまして、『就活で有利な人』と解きます!

そのこころは?

どちらも、しかく(死角・資格)がたくさんあるでしょう!

みんなで交通事故を減らして、ゴール3のターゲットを達成しよう!