容器を堆肥に!~パートナーシップで循環型社会を実践~

容器を堆肥に!~パートナーシップで循環型社会を実践~

プラスチックコーティングやラミネート加工が一切無い、100%植物繊維原料のお弁当の容器を回収し堆肥化、その堆肥を使って農作物を生産し、お弁当の具材にする。そんな循環型社会を実践するSDGsなプロジェクトを相模原市内で実施しました!

容器を食べて自力で堆肥化するってことでしょうか?

全然違います…。この事業は「パートナーシップ」で実現しました!

それでは事業の様子をレポートしていくよ!

事業開始のきっかけ

2022年3月、神奈川県より、剪定(せんてい)枝等を堆肥化している事業者を探しているとの相談を受けました。

理由は、神奈川県が「ビジネスアクセラレーターかながわ」により支援するベンチャー企業「Ecoinno Japan株式会社」が100%植物繊維由来原料の容器を展開しており、これを使った循環システムの構築を目指しているとのことでした。

プラスチックのコーティングとラミネート加工がない完全植物由来の容器。低温-196℃から耐熱200℃を超える性能があり、オーブン調理が可能。水や油に対しても耐性がある。

さがみはらSDGsパートナーであり、伐採木などを独自の技術で堆肥化している「株式会社ワコーグリーン」さんに相談に乗っていただくことになり、神奈川県・相模原市・ecoinno Japanさんの三者でワコーグリーンさんを訪問。容器の堆肥化について協力をいただけることとなり、プロジェクトをスタートすることとなりました。

株式会社ワコーグリーンが生産する有機肥料「森の富植土」。
本業である造園作業で発生した剪定枝をチップ化し、特許製品である100%天然成分のミネラル液を混ぜて撹拌発酵させることにより生産するため、堆肥独特のにおいがしないのが特徴。

プロジェクトについては、単に容器を堆肥にするだけではなく、循環システムの社会実装を目指し、次の一連の流れを実践することとしました。

プロジェクトの流れ

  • 植物由来容器を使ったお弁当を製造・販売(提供)
  • 容器を回収
  • 回収した容器で堆肥を製造
  • 堆肥を使って農産物を生産
  • 農産物を使ったお弁当を製造

容器の回収

世の中には環境配慮型の使い捨て容器は沢山あります。脱プラスチックという点では環境に良いですが、使い終わると廃棄せざるを得ない点がネックとなっています。

その点100%植物由来の容器は堆肥化が可能ですが、課題となるのは使用済み容器の「回収」です。一般に広く販売すると回収が困難になることから、今回のプロジェクトではイベントでの活用及び相模原市役所の職員生協での販売することにより、回収率を高めることとしました。

国際自転車ロードレース「ツアー・オブ・ジャパン相模原ステージ」で容器の回収を行いました!

市役所職員生協でのお弁当販売では、SDGsパートナーの「セラム・グループ」さんにご協力いただきました!

市役所職員生協での販売の際には、セラム・グループさんのご協力でお弁当の中身にもこだわり「SDGs弁当」として販売していただきました。

地産地消などにもこだわったSDGs弁当

容器の堆肥化

回収した容器はワコーグリーンさんに持ち込み堆肥化をお願いしました。

なお、実際に使用した容器を堆肥化する前に少量の容器を使って実験を行っていただきました。完成した堆肥を成分分析したところ、通常の「森の富植土」と同様の成分の堆肥ができたとのことです。

ワコーグリーン柳谷社長

基本的には容器を細かく粉砕して堆肥化を行いましたが、そのままの形でも徐々に容器の形が崩れ、最終的には容器の形は跡形もなくなり無事に堆肥となりました!

形がなくなり堆肥が完成するまでにかかった期間は2か月半~3か月程度。次はこの堆肥を使っての農産物の生産です。

完成した堆肥を農家へ

完成した堆肥は、セラム・グループさんの紹介で、相模原市内の生産農家「相模原大ちゃんの野菜」の和泉さんの畑で使っていただくことになりました。

2022年11月、堆肥が和泉さんのところに届けられました。

この日はecoinnno Japanの皆さんやセラム・グループの山口さんも参加し、完成した堆肥の前で記念撮影をしました。

和泉さんがこの堆肥を使って、何の野菜を作るかを考えていただけるとのことでした。

堆肥を使っての野菜作り

2023年3月、和泉さんより畑に堆肥を散布するとの連絡をいただき、見学に行きました。

和泉さんの畑はとても広いため、畑の一画に堆肥を散布していただきました。

この畑では何を作るのでしょうか?

「ジャガイモ」を作っていただくことになりました!

この日は堆肥の散布までを見学させていだき、作付けは後日行っていただけるとのことでした。

2023年5月、和泉さんの畑にお邪魔して、ジャガイモの状況を見させていただきました!

今回の堆肥を使った区画と、通常使用している堆肥の区画で、ジャガイモの成長状況に差はないとのことでした!

1年前に回収した容器が堆肥となり、畑に撒かれ、その畑でジャガイモが成長している姿を見るのは、とても感慨深いものでした。

収穫そして再びお弁当へ

2023年7月、ジャガイモの収穫が終わり、一部を保管しているとの連絡をいただきました。

和泉さんからジャガイモを受け取り、セラム・グループの山口さんへ引き渡しました。このジャガイモを使ったお弁当を、再び相模原市役所の職員生協で販売していただくことになりました!

ジャガイモづくしSDGs弁当

8月22日、ついに相模原市役所職員生協で容器から作った堆肥で育ったジャガイモを使ったSDGs弁当が販売されました!

じゃがいもづくしSDGs弁当2種(各800円)

  • SDGs豚コンフィとじゃがいものお弁当
  • 鶏ももの西京焼きとじゃがいものお弁当
    ※ポテトフライバター風味 、自家製ポテトサラダ、洋風肉じゃが 他

お肉が美味しそうですね。

ジャガイモに対するコメントをお願いします…。

1年以上かかりましたが、SDGs弁当の容器が堆肥になり、堆肥でジャガイモを育て、またSDGs弁当になって帰ってきました!
今回の容器も回収し、再度堆肥化を行います。

容器の回収スキーム等、本格的な社会実装にはまだまだ課題がありますが、ゴミの出ない循環型社会の実現に向けて、今後もパートナーシップで様々な取り組みを進めていきたいと思います。

SDGs弁当と掛けて、5月の晴れた日と解きます。

その心は!

どちらも「ようき」(容器・陽気)がいいでしょう!

みんなで循環型社会を実現しよう!