神奈川県ユニセフ協会が、「世界の12歳」をテーマにした動画を制作しました。
まずは動画をご覧ください!
この動画は、相模原市立谷口台小学校6年生(現在は大野南中学校1年生)の田神咲音さんが作詞し、同小学校教諭の松元博一さんが作曲した合唱曲に合わせ、神奈川県ユニセフ協会が制作しました。合唱曲は県ユニセフ協会のボランティアの大学生8名が歌っています。
動画制作の経緯
どういう経緯でこの動画が制作されたのでしょうか?
制作の経緯は次のとおりだよ!
ユニセフ(国連児童基金)の活動を支援する県ユニセフ協会が、谷口台小学校の6年生を対象に出前学習会「世界の12歳と私」を開催しました。
この学習会で児童労働や少年兵などの問題を知った田神さんが、学習発表会で「私とは違う世界の12歳は大変だけど、その人なりの幸せがある」という思いと、「争いのない平和で平等な世界が実現して欲しい」という思いを込めた詩を発表しました。この詩を元に同小学校の松元教諭が合唱曲を作りましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、この合唱曲が歌われることはありませんでした。
このことを知った県ユニセフ協会のボランティア<UNICeeds(ユニシーズ)>国立音楽大学2年生の仙石瑞希さんら大学生8人が「12歳の気づきを世界に広める手伝いをしたい」と練習を重ね合唱曲を収録し、その合唱曲に合わせて県ユニセフ協会が動画を制作しました。
色んな人たちの想いがつながって完成したんだね!
インタビュー
作詞をした田神さんと作曲をした松元教諭にお話を聞かせてもらったよ!
相模原市立 大野南中学校
田神咲音さん
―― この詩を創ったきっかけについて教えてください。
田:総合的な学習の時間の中で、世界で起きている紛争や児童労働、貧困問題などについて知ったことがきっかけです。
―― なるほど。世界の現状を知ってどういう風に感じましたか?
田:最初は単純に「かわいそう」と思ったんです。ただ、ユニセフの方のお話を聞くなど学びを進めていくうちに、考え方が少し変わってきました。
―― どのように変わったのでしょうか?
田:私たちから見ると厳しい状況で暮らしていると思う世界の12歳も一生懸命生きていて、日々の生活の中に楽しさや幸せを感じている、ということに気づき、「かわいそう」という考えは違うんじゃないかな、と思うようになりました。
―― たしかに、「かわいそう」という気持ちは一方的で他人ごとのようにも感じられますね。
田:はい、 自分の価値観で決めるのではなく、それぞれの楽しみや幸せがあるということをまず伝えたいと思いました。
―― それぞれの楽しみや幸せがあるから、今のままでいいかな?
田:今のままでいいとは思いません。やっぱり争いや、生きていけないほどの貧困は無くさないといけない、という想いがあります。「かわいそう」という他人事の気持ではなくて、自分たちにできることをやっていかないといけない、と思いました。
―― その想いを伝えるために「詩を作ろう」と思ったのはどうしてですか?
田:元々わたしは音楽が好きで、クラスにも音楽が好きな人がいっぱいいたので、音楽を使って表現したらもっともっと多くの人に想いが伝わるんじゃないかな、と思いました。ただ、曲は作れないのでまずは作詞をして先生に見てもらったんです。
―― なるほど。そしたら先生が曲を付けてくれたのですね。曲を聴いてどう思いましたか?
田:素敵な曲で とても嬉しかったです!
―― さらに 県ユニセフ協会さんが動画にしてくれました。
田:そうなんです!実際に 音楽大学の方が歌っているところなどの作成場面も見せてもらいました。自分の詩がすごくきれいに歌われていて感動しました!
―― とても心に響く曲ですよね。動画を含めいろんな人に見て、聴いてもらえるといいですね!
続いてSDGsについて聞かせてください。SDGsを初めて知ったのはいつごろですか?
田: 小学校5年生の時、学校の授業で知りました。それまではあまり知らなかったんですが、ひとりひとりが少しずつ取り組んでいけばSDGsは達成できる、というのを聞いて、やるかやらないかだったらやる方が良い!思いました。
―― とても素晴らしい考えだと思います。では、日常生活でSDGsを意識したり、取り組んでいることはありますか?
田: 本当にちょっとしたことなんですけど。
なるべくゴミは減らす、水を出しっぱなしにしない、とかを意識しています。
―― そういう身近なところから意識していくことが大事ですよね!
これまで学んできたことや、作詞の経験を踏まえて、これからの世界に対して、どうなってほしいと思いますか?
田:やっぱり、一番は平和になってほしいです。
この歌を聞いたひとが何かを感じてくれて、争いがなくなることに繋がったらうれしいです。
谷口台小学校教諭
松元 博一 さん
――まず合唱曲を作曲できるなんてすごいですね!
松:作曲について専門的に学んだことがあったもので。
――田神さんは総合的な学習の時間で紛争や貧困問題について知ったとのことですが、どのような狙いがあったのでしょうか?
松:「Think globally Act locally」という言葉が示すように、世界の現状を知って自分たちにできることを考え行動して欲しいという狙いがありました。
その流れの中で、 国際問題について最前線で取り組んでいる人の話を聞いてみよう、という話になり、県ユニセフ協会さんをお呼びしました。
――実際に活動している方たちの話を聞くことができるのは、とても良い経験ですね。
松:はい、水がめを運ぶ体験なんかもさせていただいて、様々なことを学ばせていただきました。
その後自分たちに何ができるかをそれぞれが考えるなかで、「世界は今こんな状況なんだ」ということを多くの人に知ってもらいたい、という話に繋がっていったんです。
――様々な学びがあって、行動へとつながっていった、ということですか。
松:そうですね。国際的な問題に対して、子どもたちが直接的にできることは少ないですが、「自分たちにできることをやる」ということにつながったのは成果だと思います。
――田神さんの場合、伝えるための手段が「詩」だったということですね。。
松:そうですね。初めて見せてもらって、とてもメッセージ性が強いと感じたので、曲を付けてみんなで合唱ができれば、沢山の人に聞いてもらえるかなと思い曲を作りました。そうすれば子どもたちの考えた「多くの人に知ってもらう」という目標に近づけるかなと。
――しかしながらコロナで…。
松:そうですね。合唱の練習をできる状況ではなかったですし、発表の場もありませんでした。
―― とても残念ですね。
松:そうですね、できれば歌いたかったですね。でも、結果的にユニセフ協会さんが子どもたちの想いを継いでくださり、今回の動画を作っていただきました。とても感謝しています。
―― 動画となったことでより多くの人に届くものとなったと思います。私たちもぜひ広めていきたいです。
―― この合唱曲に対する先生の想いをお聞かせください。
松: この歌を作ったのは自分と田神さんの二人ですが、学年のみんなで総合の授業に取り組んで、一緒に考え、意見を交わし様々な学びがありました。その過程があったからこそ生まれたのがこの合唱曲だと思っています。
―― なるほど。ホントに多くの人に見て欲しいですね。
松:そうですね。ぜひ多くの方に見ていただき、子どもたちのメッセージを受け取ってもらえればと思います。
終わりに
世界の現状を知って、自分たちにできることをやる。一人ひとりができることは小さいかも知れませんが、みんなが行動することでSDGsの目指す「誰一人取り残さない世界」が実現するのではないでしょうか。
曲の中にある「壊せない壁はない」という言葉のように、一人ひとりが行動することで、世界が一つになる日が来るはずです!
みんなもぜひ動画を見て、色んな人に広めてね!
神奈川県ユニセフ協会のHPでは合唱&大学生インタビュー動画も公開しています!