気候変動を「ジブンゴト」に!SDGsゴール13『気候変動に具体的な対策を』
【NPO法人ふじの里山くらぶ】

今回、お話をお伺いしたのは、藤野地域の里山文化を大切にしたまちづくり活動に取り組んでいるNPO法人ふじの里山くらぶのAKIさんこと野口正明さん。

「ふじの里山くらぶ」では、SDGsのゴール13「気候変動へ具体的な対策を」を地域レベルで体現する取組み「気候変動の藤野学」を進めています。

「ふじの里山くらぶ」の取り組みは、『令和2年度 気候変動アクション環境大臣表彰』を受賞したんだ!

「肝臓大事に表彰」?休肝日を週2回くらい設ける取組ですかね?

そうそう、できれば週3回くらいにするといいかも。
って「環境大臣表彰!」だし。

それでは詳しくお話を聞いていくね。

ふじの里山くらぶ
AKIさん(野口 正明さん)

プロフィール

藤野地域で発生している気候変動の影響事例を調べ、将来にわたるリスクを考えながら、自分たちでできる「自助」とみんなで行う「互助」の視点から具体的な適応策を実践する「気候変動の藤野学」を2016年からリードしてきた。

フリーランスの対話型組織開発コンサルタントとして企業、自治体や地域コミュニティなどの創発支援をしている。2013年末に藤野へ移住。

地域活性化を目指す団体が気候変動問題に取り組む!

――ふじの「里山くらぶ」とはどのような団体なのでしょうか。

A:「藤野の魅力を見つけ、創り、伝える」ことをミッションにする団体です。

その根底には、地元の人たちが大切にしてきた、里山にともに暮らす人間と自然、そして人間同士のつながりを第一義に据えた生活文化を、次の世代へ引き継いでいきたいという思いがあります。

――具体的にはどんな活動をしているのでしょうか。

A:自主活動としては古民家ツアーや里山ウォーキングの開催など、地域の魅力を活かした行事を通じて、魅力あふれる地域へステップアップするための土台づくりを行っています。

里山ウォーキング

――これまでのお話だと、気候変動とのつながりが見えてこないのですが…。

どんなきっかけで気候変動問題に取り組むことになったのでしょうか?

A:きっかけは、気候変動をジブンゴト化して考えようという「気候変動の地元学」に取り組んでいらっしゃった法政大学(当時)の白井信雄先生との出会いでした。

「気候変動の地元学」を地元で地域活動をしている里山くらぶでもやってみようという流れでした。

――それで「気候変動の地元学」にちなんで「気候変動の藤野学」がはじまったのですね。

具体的にはどのような取り組みから始めたのでしょうか?

A:まずは、地域における気候変動の影響と思われることを、住民の皆様に聞き取り調査するところからスタートしました。

――どんな意見が出たのでしょうか?

A:「昔はクーラー不要だったのに必要になった」、「干し柿がかびるようになった」、「雨が降ったときの川の増水が急激になった」、「クマ、サル、イノシシ、シカの出没が増えた」、「ギフチョウの羽化時期が早まっている」、「ヤマビル被害が増えた」など、沢山の質の高い情報が集まりました。

――地元に長く住んでいるからこそ分かることですね。

A:はい。地元の方々の暮らしに根ざした鋭い観察眼には驚きました。

次に、これらの情報をもとにしたワークショップを実施し、地域にとって優先度の高い課題について話し合いました。

――話し合いの結果、優先度の高い課題はどのようなものになったのでしょうか?

A:「集中豪雨による土砂災害」、「鳥獣被害による耕作放棄」、「猛暑による健康維持」の3つを選びました。

――なるほど。地域の特色が出てますね。

A:そうですね。

ワークショップの後半には、優先課題にどう対応するかということについて意見を出し合い、それから定期的に課題解決に向けてのアイデア出しや実践に取り組んでいます。

色んな地域に展開できる取組みだね!地域によっていろんな特色がありそう!

気候変動を「ジブンゴト」として捉える!

A:そんな取組みを進めているさなか、2019年10月に東日本台風による被害が発生してしまいました。

――本市にとってこれまでで一番大きな被害が発生した自然災害でした。

A:藤野地域では各地で土砂崩れが発生し、家屋損壊や道路の寸断など大きな被害が発生しました。これは本当にショックな出来事でした。

台風被害

――気候変動の原因となるCO2は都市部で多く排出しているのに、中山間地域で大きな被害が発生してしまうのは、とても考えさせられますね。

東日本台風を受けて活動に変化はありましたか?

A:10月の台風で大きな被害が発生し、まだ日常が取り戻せていない状況ではありましたが、「集中豪雨による土砂災害」は優先課題の一つでもありますので、思い切って12月にワークショップを開催しました。

――ワークショップに人は集まったのでしょうか?

A:これまで参加していなかった多くの方に参加していただきました。

やはり台風被害を受けて、気候変動を「ジブンゴト」として捉える方が増えたのだと思います。

――なるほど。

A:でも本当は被害が発生する前に多くの人に気候変動の影響について考え、備えてもらう必要があったわけです。

もっと積極的に情報発信をすべきだったのではとの反省もありました。

――そこは行政の役割でもありますね。

A:たしかに住民だけでは難しいところもあり、そこは行政や関連する団体と役割分担をしながら連携をして、気候変動への取組みを進めることが必要でしょうね。

パートナーシップが重要ということね!

藤野地域への想い!

――地域団体である「ふじの里山くらぶ」で活躍するAKIさんですが、7年前に移住して来られたんですね。

A:2013年末に都心から藤野に移住しました。

前々から自然や地域コミュニティに興味があったのですが、とある海外でのワークショップで藤野在住の方に出会い、その魅力に引き寄せられるように3か月後には衝動的に引っ越していました。

――すごい行動力ですね。実際に藤野に住んでみての感想はいかがでしょうか。

藤野の自宅前にて

A:僕の専門は自律分散型組織論なんですが、藤野地域はまさにそれを街中で体現しているコミュニティと言えますね。先進的な「ひらかれた共同体」だと感じています。

――自律分散型組織とは、簡単に言うと、どのような組織なのでしょうか。

A:権限や責任が一極に集中することなく、一人ひとりが自分らしく振る舞いながらも、全体としての調和が成り立っているような組織ですね。

――なるほど。

藤野地域への思いをお聞かせください。

住民の幸福度を測るとしたら、たぶん日本でも有数の場所ではないかと思います。大きな産業があるわけではなく、決して便利な生活が享受できるわけでもない。でも、一人ひとりが自分らしくイキイキと暮らし、お互いに支え合ってる感じがたまらなく好きなんです!

「みんなで支え合って幸せに暮らすことができる」地域、まさにSDGsが目指す世界を体現しているね。

SDGsへの思い

――SDGsについてはいつ頃からご存じでしたか?

A:企業ビジネス向けのコンサルティングをしている関係もあり、国連で採択された当初からその存在は知っていました。

しかし、恥かしながら、真剣に学び始めたのは昨年くらいからです。

――最後にSDGsについての思いや考えをお聞かせください。

A:SDGsの各要素は、すべて統合的で不可分な関係でつながっており、部分最適なアプローチではどうにもならないという特性に強く魅かれます。

この複雑かつ困難な課題解決に、セクターを越えた創発的アプローチで少しでも貢献できたらと思っています。

終わりに

気候変動と聞くと大きな話過ぎて、国や企業が取組を進めるイメージがありますが、その影響を受けるのは地域で暮らす人々であり、ふじの里山くらぶの取組は、地域での気候変動への取り組み方のヒントになるのではないでしょうか。

気候変動の与える影響はすでに各地で表面化しています。気象災害や健康被害は決して「対岸の火事」ではありません。

気候変動を「ジブンゴト」にし、今日から意識して「行動」してみましょう!

『気候変動』と掛けまして、『恩師の言葉』と解きます

その心は?

どちらも『ききとめる』(危機止める・聞きとめる)必要があるでしょう!

気候変動対策への取り組みをし、みんなで危機を止めよう!