福祉施設×SDGs ~半径200mのハッピーを~
【株式会社 ファイブスター】

福祉施設×SDGs ~半径200mのハッピーを~<br>【株式会社 ファイブスター】

今回お話を伺ったのは、リハビリデイサービス「オリオン」と認知症対応型デイサービス「おとなり」を運営する株式会社ファイブスターの安西さん

介護を受ける人、介護をする人といった既成概念や、従来の「福祉」という言葉の枠にとらわれず、一人ひとりの「やりたい」を叶えるとともに、多くの人を巻き込み誰もが輝ける地域づくりを進めています。

ファイブスター(五つ星)ということは、かなり美味しい予感がしますね!

☆5はなかなか付かないからホント楽しみ。って食べログじゃないから!

ちなみに星形の先端の角度を足すと必ず180度になるんだ!
それでは詳しくお話を聞いていくよ!

株式会社ファイブスター
安西さん

プロフィール

理学療法士として病院・訪問看護ステーションでリハビリの仕事に従事。

リハビリ後の生活の質の向上を見据えると、地域全体を巻き込むことが必要と考え、株式会社ファイブスターを設立。

嫌いなものはぬるいビールと動作の遅いパソコン。

リハビリデイサービスオリオン

女子美術大学の学生さんが作成したオリオンの壁画

――リハビリデイサービスオリオンはどのような施設なのでしょうか。

安:基本的には介護認定を受けた人が機能回復訓練を行うための施設です。この施設では特に一人ひとりの「やりたい」を叶えることに重点を置いています。

――具体的にいうとどんなことなのでしょうか。

安:例えば「手が動くようにする」といった身体の機能を回復させるための訓練にとどまらず、「手が動くようになって何をしたいのか」というニーズにまでスポットを当てて、利用者を全力でサポートしています。

――とても素敵な考え方ですね。

安:また、地域を巻き込むための工夫として、施設の軒先に街角図書室オリオンを開設しました。

オリオンの街角図書室

――街角図書室。どのようなきっかけで始めたのでしょうか。

安:一つのきっかけはコロナですね。運動不足解消のため、地域の人が散歩がてらにここに寄っていただければと思いました。自宅で読書を楽しんでもらって、返すためにまた歩く。

――なるほど。どのように利用するのでしょうか?

安:あえて利用の仕方を明記しないことで、地域とのコミュニケーションが生まれるようにしています。なので興味のある方は是非オリオンまで足を運んでいただき、スタッフに声をかけてください(笑)。

――リハビリを受けていない人でも利用できるのですか?

安:はい!だれでも利用できます!

僕の好きな「日本昔ばなし」ありますかね?

足を運んで確認してみよう!

認知症対応型デイサービス「おとなり」

――こちらはどのような施設なのでしょうか。

安:簡単に言うと認知症の診断を受けた方が日中過ごす場所ですね。

――「おとなり」という名前に由来はあるのでしょうか。

安:今は隣に誰が住んでいるのかも分からない時代ですが、昔の「おとなり」さんは、醤油の貸し借りをするような、困ったときはお互い様の関係があったと思います。
 
地域で顔が見える関係を作って、困ったときは「おとなり」に行けば大丈夫、というような地域全体の「おとなり」さんのような施設でありたいという想いで付けた名前ですね。

――とても素敵ですね。施設は木をふんだんに使っていてとても親しみやすいですよね。

安:実はこの木、地元の津久井産材なんですよ。知り合いのMORIMOさんに施工してもらいました。

――なんと!とってもSDGsな施設ですね。相武台団地という場所を選んだ理由はありますか?

安:神奈川県の住宅供給公社が中心となって行う「グリーンラウンジ・プロジェクト」という地域再生の取組がこの団地で展開されていて、ここでなら自分のやりたいことが実現できると思ったことが一つですね。

――グリーンラウンジ・プロジェクトとは?

安:相武台団地は高齢化が進みコミュニティが弱体化していて、さらには団地内の商店街はシャッター街となっていたんですね。そこで商店街に新たなコミュニケーションを生み出す店舗等を呼び込み、団地の魅力を引き出し、多くの人が集える魅力的な空間を作るというプロジェクトです。

――コロナ禍で移動が制限されるなか、地域コミュニティの大切さが一層増しているように感じますよね。

安:はい。さらに地域コミュニティの活性化は、地域内でモノやお金が循環することにもつながると考えています。そうすることで地域全体が元気になって、若い人達も集まってくるようになればいいなと思っています。

――「おとなり」はその中でどんな施設を目指しているのでしょうか?

安:サービス利用者以外の方が気軽に立ち寄っていただける、そして認知症の方も得意なことを生かして地域を創る一員として輝くことができる、そんな施設にしたいですね。

車いすでもあきらめない世界をつくる「WheeLog!」

――他にも安西さんは車いすによる街歩きイベントを開催したとお聞きしました。

安:はい、一般社団法人WheeLogという団体が各地で開催しているイベントなのですが、それを相模原市で開催し、実行委員長を務めさせていただきました。

――具体的にどのようなイベントなのでしょうか。

安:簡単に言うと「車いすで目的地まで行く」というものなのですが、みなさんに地域の「いいところ」を出し合ってもらって目的地を決めて、その目的地に行くことを「ミッション」としてクリアするというゲーム感覚で楽しめるイベントです。

――どんな「ミッション」があったのでしょうか?

安:「レトロ自販機を探す」、「赤い手青い手を見つける」、「ヨサコイと写真を撮る」などのミッションが生まれましたね。

――ホントに地域ならではのミッションですね!参加者の感想は?

安:車いすに乗ったことはあるけど、実際にバスや電車に乗って移動するのは初めてという人がほとんどで、様々な学びがあったという感想をいただきました。

――ホントに貴重な体験ですよね。

安:他にも、「お店のバリアフリー情報が載っているサイトがあるといいよね」という意見もあって、こちらは早速作成に取り掛かっています!

公開されるのがとっても楽しみ!

SDGsについて

――安西さんの活動は様々な面でSDGsにつながっていると思いますが、意識されたことはありますか?

安:正直なところそこまで強く意識はしていないのですが…。

――SDGsの「誰一人取り残さない」という理念を体現していると思います!

安:「誰一人取り残さない」ということは「誰もがハッピー」ということですよね。

SDGsは世界の共通目標で、もちろん世界中の誰もがハッピーに暮らせれば最高なんですが、まずは自分にできることをやって「半径200m」くらいのみんなをハッピーにしたいと思います!

終わりに

 高齢であることや障がいがあることにかかわらず、誰もが輝いて暮らすためには、ハード面での対策や福祉政策の充実も必要ですが、もっとも大事なのは一人ひとりが「心のバリア」を無くすことと話す安西さん。

 「心のバリアを無くすこと」は「誰一人取り残さない世界」を実現するために、誰もができるSDGsアクションなのではないでしょうか。

リハビリを受けた人とかけまして、昨日手術を受けた人ときます。

その心は?

きのうかいふく(機能回復・昨日開腹)したでしょう。

心のバリアを無くして、誰一人取り残さない社会を実現しよう!